フィクション「光る招待状」(中編)  はしくん


 夜は冷たい。凍るようなアスファルトの冷たさが靴を通して足の指先の感覚を
 奪い、ポケットのホッカイロはただの砂袋になる。冬の夜の出待ちは厳しい。

 でもオレの胸はあったかいのだ。なんたって、のりピーTシャツを着てるから。^^

 「のりちゃんの乗った自動車なかなかでてこないね。」
 「オレ今日これ渡すんだ。」
 「やるね!はしくんコノコノー!!」
 「オレさっきから心臓が。。」
 「どうしたの?心臓悪いの??」
 「ドキドキする。」
 「こけ。^^;」
 「のりちゃんうけとってくれるだろうか。」
 「うけとってくれる方にのりちゃん賭けた!」
 「じゃオレはうけとってくれない方にのりピー賭ける。」
 「どちらかがのりちゃんをものにできるってことだね。」

 俺は一人出待ちの時間はこうして腹話術をしながら過ごすのだ。

 そうこうしてるうちにのりピーの乗った自動車がきた。オレは大声で叫んだ。
 「のりピー!これ受け取ってくれ!!」

 自動車はかまわず通り過ぎようとした。オレはさらに叫んだ。
 「のりピー!好きだー!待ってくれー!!」

 自動車は遠ざかりはじめた。オレはたまらず叫んだ。
 「こぎピー!あいしてるーー!!」

 その瞬間自動車は止まった。^^;

 オレは走ってかけつけ、開いた窓からのりピーに招待状を渡して、
 「これ、星空のし」

 ここまで言ったところで、自動車は大きなエンジン音をふかして走り出して
 しまった。こぎピーに先に声をかけるべきだったのだろうか。^^;

 あの招待状は星空の下で読んでもらわないとただの白い紙だ。しかも光るのは
 今晩限り。もし気づいてもらえなかったら。。オレは不安でいっぱいになった。

                    はしくん